「庭で家庭菜園にチャレンジしたい。でも、何から手を付けていいかわからない」
そんな方向けに、家庭菜園の作り方をまとめてみました。
本格家庭菜園はプランター栽培より地植えがおすすめ?
本格的に家庭菜園をするなら、根の成長を考慮すると、プランター栽培より、地植えがオススメです。
『野菜の根は、私たちが想像している以上に広く、深く伸びているものです。例えば、トマト、スイカなどは、深さ1メートル以上、 横に2.5メートル以上にも根が張り、ホウレンソウでさえ1メートルぐらいまで根が張るといわれています。この根は、土の中から同化作用に必要な水を吸収して、茎葉に送っているのです。根の張りの良しあしは、野菜づくりのカギといっても過言ではありません。
http://www.ja-aichinishi.or.jp/garden/garden_01/
野菜を地植えすることで、根が深く広く伸びることが可能になる為、結果的に野菜も鉢植えより大きく育ちます。
しかし、日照条件も異なりますので、ケースバイケースとしてお考え下さい。日当たりの悪い場所しか地植えができなくて、それでも日向向けの野菜を育てたい場合は、大型プランターを使用して、日当たりの良い場所で育てることも検討してください。
庭に家庭菜園を作る時のプロセスとポイント
「自分で育てた野菜を食べたい」
「子供と一緒に野菜を育てたい」
「無農薬野菜に興味がある」
庭に家庭菜園をつくるキッカケは色々あると思います。家庭菜園を造る上でのプロセスとポイントに関して、DIYで実施する場合と、プロ(外構業者)に頼む場合と、それぞれまとめてみました。
日当たりを考慮して畑を作る場所を決める
まず最初に、庭のどこに家庭菜園を造るのか、場所を決めます。野菜を育てる上で、一番大切なのは、光と風です。日当たりの良い場所を探しましょう。
理想的なのは南向きか東向きの場所です。植物は西日に弱い(特に夏の強い西日)ので、西向きしか場所が無い場合は注意が必要です。また、北に庭がある方でも、そこが明るい日陰だったら、日陰で育つ野菜を選ぶことで、家庭菜園にチャレンジが可能です。
一点、大事なことですが、室外機の前だと、枯れてしまう確率が高くなります。室外機の前は避けてください。また、強風地域の場合、葉から水分が失われてしまう為、風よけなど、考慮する必要が出てきます。
庭の土壌改良を行う
日当たりを考慮して、家庭菜園スペースを決定したら、次は土壌改良を考えましょう。
野菜をつくるには、水をやって肥料を与えればよく育ち、 実も大きくなるものだと思われがちですが、決してそうではありません。土の中の養分を吸収する根が大切であり、これが十分伸びることができる環境、つまり土づくりをすることがポイントです。
http://www.ja-aichinishi.or.jp/garden/garden_01/より引用
野菜を育てる上で、日照条件と併せて土の条件も大切になります。こちらについては、DIYで実施する場合と、プロに頼む場合の2種類をまとめてみました。
そもそも、畑の土の要素とは!?
- 植物の根・土壌動物・微生物
- 腐葉土・たい肥
- 土
それから、畑に良い土とは!?
- 排水性が良い
- 保水性が良い
- 通気性が良い
- 肥料・phのバランスが良い
- 大きい石や小石などが無い
土壌改良に必要な道具とは!?
- 軍手(手を保護する)
- くわ・スコップ(庭の土を掘り返す)
- 熊手(雑草の除去に役立つ)
- ふるい(小石を取り除く)
- ブルーシート(土をふるいで分ける)
- 腐葉土・たい肥・赤玉土・黒土など(保水性・排水性の改良)
- 苦土石灰(土のphの調整で使用)
- 元肥(植物の成長に役立つ)
※岩盤層など、固い地盤の場合、「つるはし」などがあると良いです。
【DIY】土壌改良する方法とは!?
DIYで家庭菜園を作ろうと計画する場合、一番初めに行き当たるのが土壌改良の問題です。順を追ってまとめてみました。
①土を耕す
畑にしたい場所を、くわやスコップで耕してください。深さ30cm程度は必要です。ガス管・給水管・排水管・汚水管などの配管が通っていることがあります。注意して、慎重に作業してください。(万が一、ガス管に傷をつけた場合は、大至急でガス会社に連絡してください。また、水道管に傷をつけた場合は、大至急で市町村の指定水道業者に連絡してください。HPから情報を得ることができますので、作業前に連絡先のメモを準備しておくと安心です。)
※また、穴掘りは午前中に実施することをオススメします。気温の問題もありますが、万が一、配管を傷つけた時のことも考慮すると、遅い時間にスタートすることはオススメしません。
②「ふるい」にかける
ブルーシートを家庭菜園スペースの横に広げましょう。掘った土を「ふるい」にかけ、ブルーシートの上に綺麗な土を入れていきます。 この作業を通して、ゴミや植物の根、石・砂利などを取り除くことができます。 大変な作業ですが、植物の根を張りやすくする為の大事な作業となります。「ふるい」作業が終わったら、綺麗な土を先程掘った穴に戻します。
※大きい石はスコップで掘りながら、どけると良いです。
③土壌を改良する(粘土質か砂質の場合)
まず、庭の土の性質を確認します。庭の土を少し手に取って、握ってから手を広げてみます。
A:固まったまま → 粘土質(排水性が悪い)
B:さらさらと崩れる → 砂質(排水性が良すぎる)
庭の土が粘土質か砂質かも確認ができたら、それぞれの土質に合わせて、土壌改良を行います。
A:庭の土が粘土質で排水性が悪い場合 家庭菜園の面積1㎡に対し、腐葉土またはたい肥を2kg(5-10L)撒いて、混ぜてください。
B:庭の土が砂質で排水性が良すぎる場合 家庭菜園の面積1㎡に対し、腐葉土やたい肥を1kg(3L)、赤玉土や黒土を1kg(3L)撒いて、混ぜてください。
野菜苗の植え付け2週間ぐらい前までに終えましょう。 苗の植え付けまでの間、腐葉土やたい肥をエサに、 微生物が活動を行い、良い土へと改良してくれます。
- 化学肥料は微生物のエサにならない為、腐葉土やたい肥など、有機質の物を使用することがポイントとなります。
- 腐葉土は必ず「完熟」と書かれたものを使用してください。完熟していない腐葉土を使用すると、葉に付着した害虫の 卵まで家庭菜園に持ち込むことになります。
④苦土石灰を撒く
日本の土壌は世界の他の地域と比較すると、酸性土壌です(一部の地域を除きます)。また、日本では何もしていないと、土壌が徐々に酸性になっていく傾向があります。
【日本の土壌が酸性になる理由】
(1) 雨水には、空気中の二酸化炭素が溶け込んでいて、弱酸性になっている。
(2) 日本は降雨量が多いため土中のアルカリ分(石灰分)が流される。
(3) 畑では化成肥料が多用される(硫安など硫黄を含む原料が多い)。
(https://www.sc-engei.co.jp/qa/t_qa/13.html)より引用
土壌の酸性度を調べる上で、生えてくる雑草を見ると分かりやすいです。例えば、スミレ、スギナ、オオバコなどが生えていたら、酸性土壌です。
野菜は酸性土壌を好まない為、野菜が健康に育つよう、苦土石灰を入れてpHの調整を行います。苦土石灰はマグネシウムとカルシウムの成分を含んでいます。即効性がある消石灰と比較して、緩効性なので、ゆっくり効きます。
1㎡辺り、一握り(100g)使用するのが基本です。石灰を撒くのは、苗の植え付けや種まきの2週間前です。
※pHの値を低くしたい場合、ピートモスを土に混ぜてください。酸性になります。
⑤元肥を撒く
苦土石灰を撒いて1週間程度経過したら、元肥を撒きます。元肥には有機質肥料と無機質肥料があります。土壌中に栄養分を入れることで野菜を大きく育てることができます。また、有機質肥料を撒くと、微生物の動きが活発になる為、結果的に病害虫の少ない土壌にすることができます。
元肥を選ぶ際、窒素・リン酸・カリの配合バランスが良くなるよう考えながら選んでください。
- 窒素
-
茎と葉、根の成長に効果的。「葉肥」とも呼ばれる。不足すると生育不良になる。過剰に与えても、徒長して軟弱になり、病害虫の影響を受けやすくなる。
- リン酸
-
開花・結実に効果がある。「花肥」や「実肥」とも呼ばれる。不足すると、葉が小型化して、花数が少なくなる。
- カリ
-
植物を丈夫に育てる栄養素。根の発達を促進する。「根肥」とも呼ばれる。不足すると、根が弱くなり、風などで倒れやすくなったり、病害虫の影響を受けやすくなる。
【プロ】家庭菜園用の土壌造り
DIYで家庭菜園用の土壌改良を実施するのは、難しいと感じた方もいらっしゃるかと思います。実際、肉体労働ですので、結構な重労働ですし、時間もかなりかかります。
ここでは、プロ(外構業者)に頼んだ場合についてまとめてみました。
ご家庭では土や石の処分に困ると思いますので、特に、一番最初に家庭菜園を準備するタイミング(家庭菜園を続ける為には、1作ごとに、土壌改良が必要となります)では思い切ってプロに頼むのも良いのではと思います。外構業者の場合、土の入れ替えになる為、時間も早いです。
また、新築外構や庭リフォームと同じタイミングで工事する場合、土の入れ替えだけを頼むより、割安で家庭菜園を手に入れることができますので、お得です。
既存の土を掘る、運ぶ
指定の位置の土を指定の高さ分掘る。残土運搬・既存土の処分を実施します。
客土を入れる
家庭菜園に適した土を持ってきて、掘った箇所に入れます。
※ 外構業者が家庭菜園用の土壌造りを実施する場合、一般的にここまででお引渡しになります。
周囲を花壇にすることで機能的な家庭菜園作り
家庭菜園の外周をブロックやレンガで花壇で仕切ることもできます。庭が綺麗に見えるので、オススメです。
DIYで枕木を使用される方もいますが、シロアリの問題もある為、オススメはしません。
せっかくの庭ですので、ただの畑では無く、オシャレな家庭菜園を計画してみてください。
なお、花壇の造作工事と併せて、土の入れ替えもプロに頼むと、一番最初の準備が楽だと思いますので、是非、検討してみてくださいね。
野菜の苗の植え付け
土壌改良が終わり、家庭菜園を始める準備ができたら、ホームセンターなどで好きな野菜の苗を買ってきましょう。ご自身で植え付けてください。
苗の選び方
いざ、ホームセンターに苗を買いに来ても、たくさんあって、どれを選んでいいかわからないケースもあります。良い苗の選び方をまとめてみました。
- 茎が太くガッシリしたものを選ぶ(背が高くてヒョロヒョロ伸びたものは避ける)。
- 葉が厚く、色が濃い物を選ぶ。
- 株下が安定していて、グラついていない苗を選ぶ。
苗の植え方
- 買ってきたポットのサイズに合わせて、穴を掘る。
- ポットを植え付ける。
- 水を上げる。
- あとは、水やりや施肥、支柱建てを行ってください。
- 野菜によって、管理が異なります。ポットに入っている、品種の書かれたカードに育て方が載っていますので、そちらを参考にしてみてください。
- 野菜によっては、植え付けのタイミングで支柱が必要なものもあります。野菜のポットを購入する際、育て方を読んで、支柱が必要でしたら、併せての購入をオススメします。
種の蒔き方
- 指で穴を掘り、1つの穴に3-4粒づつ種を入れ、水やりをする。(穴の深さ、種の個数などは、種によって異なるので、販売している種が入っている袋の説明文を読んでください。また1つの穴に3-4粒づつ植えるのは、成長を競わせるためです。)
- 芽が出たら、水やりをする。
- 本葉が2-3枚の頃に間引く(①で植える際、一つの穴に3-4粒づつ種を植えました。形が良く生育の良い1株だけを残して、2-3株を間引きます)。こうすることで、丈夫な苗を育てることができます。
- あとは水やり、施肥、支柱建てなどを適宜行って成長させてください。(水やり、施肥のタイミングなどは、野菜によって異なる為、販売している種の袋の説明文を読んでください。)
翌年からの注意点
翌年以降も収穫を期待する上で、毎年、土壌改良を実施する必要があります。また、連作障害を避ける為、植える野菜の品種を変える必要があります。家庭菜園を続ける為の注意点をまとめてみました。
1作ごとに土壌改良を行う
家庭菜園を続ける為には、理想としては、1作ごとに土壌改良を実施する必要があります。一度、土の入れ替えを実施したことで、大きい石などが無くなって、地盤も柔らかくなっている為、ある程度楽に土壌改良をすることができるはずです。
連作障害とは
家庭菜園を続ける上で、連作障害に注意しないといけません。
毎年同じ場所に同じ作物を栽培することを 連作といいます。そうすると、その野菜を侵す土の中の病菌や有害センチュウの密度が高くなったり、土の中の栄養分が不足したりして野菜の育ちが悪くなります。これを 連作障害といいます。
http://www.ja-aichinishi.or.jp/garden/garden_03/より引用
例えば、トマトが好きで1年目にトマトを育て、2年目もトマトを育てたい場合、トマトは土の中から特定の栄養素を持って行ってしまう為、段々と育ちが悪くなります。しまいには、病気にかかったり、実が付きにくくなったり、実が腐ったりしてしまいます。これはトマトの後にナスを植えても同様です(トマトとナスは共に、ナス科の植物)。
植える前にHPを見ながら情報収集することをオススメします。
輪作とは
連作障害を起こさない為には、輪作をオススメします。
畑を4~5区分に分けて、作る野菜を毎年回転させていきます。これを輪作といいます。
http://www.ja-aichinishi.or.jp/garden/garden_03/より引用
- 連作障害が起こらないように、野菜をグループ分けする。
- 畑を4分割にする。
- 一年ごとに、育てる野菜を時計回りに変える。
畑のサイズが小さくて、4分割にすることが難しい場合は、1年ごとに育てる野菜を変えて、輪作にならないように計画することも一案となります。
この場合ですが、例えば、トマトですが、一度植えた場合は、3-4年はトマトを植えない方が良い為、輪作にならない別の野菜を植えましょう。
まとめ
庭の一部を家庭菜園にしたい。けれども、うちの庭は畑の土と何かが違う。果たして、野菜は育つのだろうか。
そんなことを考えている方も多いと思います。
また、家庭菜園を始めてみたいけれども、良い苗の見分け方や、翌年以降の管理など、わからないことが多い方もいると思います。
そんな家庭菜園に興味のある方に向けて、記事をまとめてみました。家庭菜園は奥が深いですし、植物は自然の物ですので、育てながら悩むこともあると思います。そんな、失敗の中から学んで、収穫できた野菜には感動もひとしおです。是非、家庭菜園にチャレンジしてみてください!
また、家庭菜園の脇にウッドデッキや日除けなど、庭を造ってみても、より快適に過ごす空間となります。家庭菜園と併せて、庭づくりも計画してみてはいかがでしょうか。きっと満足できる家庭菜園ライフを楽しめると思います。
庭・ガーデンは、一度つくってしまうと、なかなかやり変えができません。
だからこそ、十分考えられたプランニング・安心できる施工を行ってくれる業者に依頼して、理想のライフスタイルを実現していただければと思っております。
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お見積を作成していく上で、丁寧な現場調査、専門の設計担当による細かい作図、工事担当による納まりの検証等を行っており、丁寧な対応に定評がございます。
家庭菜園に向けた庭・ガーデン作りを検討している方はぜひ一度ご相談ください。