シンボルツリーとは
住宅など空間のシンボルになるような背の高い樹木を指します。
エクステリア・ガーデン業界(外構工事、庭工事を行う業界)において、たびたび用いられる単語です。英語ではmain treeと言います。
シンボルツリーを入れることで、空間を引き締め、建物全体の付加価値をあげることができるのです。背の高い樹を入れることで、視線を引き上げ、結果的に、空間を広く感じさせる効果もあります。植える空間とのバランス次第ですが、複数本入れることで、より華やかな空間演出が可能です。
おすすめのシンボルツリー【常緑高木】
シマトネリコ
柔らかい葉と、風が吹いた時の軽やかな雰囲気が人気の秘訣です。 一般的に、常緑高木は固い葉の印象があります(例、クロガネモチ、キンモクセイ、ソヨゴ)。
しかし、シマトネリコは、他の常緑高木とは対照的なふんわりした柔らかい印象を持っています。また、常緑高木として分類されてきましたが、近年、半落葉として扱われるようになってきました。
これは、シマトネリコが南アジア(日本だと沖縄に自生しています)など、南国に自生している樹のため、寒い時期を乗り越える上で、大きく葉を落とす傾向があります(寒さが苦手なため、冬になると、葉も紫がかった色に紅葉します)。
また、春先、葉の入れ替え時期となるため、一時的ですが、葉をほとんど落として、見栄えが悪くなります。
シマトネリコは雄株と雌株がある樹です。
雌株は花が咲きますが、地味な印象です。シマトネリコは葉とその軽やかな雰囲気を楽しむ樹です。
また、以前、シマトネリコは圧倒的な一番の人気のシンボルツリーでした。
しかし、成長が早く、落ち葉が多いため、以前のような人気状況ではなくなってきました。
とは言え、シンボルツリーの中でも人気のある株立ちの樹で冬にもある程度葉のある植木となると、一番最初に名前が出てくる植物かと思われます。
シンプルモダン、ナチュラル、リゾート、また、洋風にも植えることができます。日向、半日陰(完全な日陰はNGです)にも植樹可能です。
シンボルツリーとしても、サブツリーとしても、エクステリアにもガーデンにも、幅広いデザインに対応できる貴重な樹です。そういった、様々なジャンルで使いやすいところが、この樹の人気の秘訣でもあります。
ヒメユズリハ
大きい葉っぱが印象的なヒメユズリハ。
南国リゾートの雰囲気を醸し出します。日向、半日陰に植樹可能です。
潮にも強く、比較的、古くから植えられてきた樹です。
ユズリハとヒメユズリハがあり、ヒメユズリハの方が、ユズリハと比較すると葉は小さいですが、樹高は高くなります。ユズリハの名前の由来は、新しい葉が生える際、古い葉が落ちることからきています。
これを親から子への家督を譲ることと被せて、縁起の良い樹とされています。日本に自生している樹です。
近年では、その南国を感じさせる雰囲気から、特に、ヒメユズリハの方にスポットライトが当たっている印象があります。
また、成長がゆっくりなことも、人気の一つかと思います。
ただし、実に毒(雄雌異株ですが)があるので、小さいお子様がいらっしゃるお客様、ペットを飼っていらっしゃるお客様は、そこも踏まえてご検討ください。
オススメの雰囲気としては、リゾート風のデザイン、シンプルモダン、もしくは、和モダンです。強い樹ですので、育てる自信の無いお客様にもオススメの一本です。
オリーブ
南欧の風と太陽の薫りを感じさせる樹、オリーブ。
南ヨーロッパの雰囲気を醸し出す王道樹木として、知らない方はいないのではないでしょうか。
一方で、植樹する場合、日当たりと風通しが良く、水はけの良い環境でないと育ちません。
最近の分譲地の場合、特に、神奈川エリアでは外周の建物が日陰を作ってしまうため、まずは、充分な日照時間がとれるか、ご確認ください。
また、成長が早く、枝が暴れる傾向が強いため、広い空間への植樹をオススメします。
シルバーがかった美しい葉、丸くてかわいい実など、オリーブならではの魅力もございます。洋風、シンプルモダン、ナチュラルなどに似合う樹です。地中海原産の植物です。
なお、オリーブの実の収穫をご希望の場合は、2種類以上の品種を植えると良いです。
その上で、1本は花付きの良い品種を入れることをオススメ致します。
ドラセナ
南国リゾート空間を演出する、ハードでソリッド、かっこいいモニュメンタルツリー、ドラセナ。
赤ドラセナ、青ドラセナ(ニオイシュロラン)、また、斑入りなど、様々な品種が出ています。
生長していく過程で、株立ちになります。立派な高木にまで成長したものは幹肌にも重厚感が漂い、恐竜の様な雰囲気が出てきます。『ドラセナ』という名前の由来もドラゴンの樹からきています。
オーストラリア原産の植物のため、ある程度寒い地域でも育ちます(斑入り品種の方が寒さに弱いです)。
また、他の高木に比べ、剪定などの手入れが格段に楽です。
雪などの際は、雪の重みで葉が折れることがありますので、降り出す前に、事前に葉をひもで軽くまとめるような養生をオススメします。
植樹する際の注意点として、根鉢が他の高木に比べて大きいため、極力スペースをとれる場所が必要です。
根は深く伸びるタイプで、深く根が張れる場所を考えてください。
根が深く張れなくなると、生長が鈍ったり、葉が寂しくなります。
また、主根を傷つけると、調子を崩したり、最悪ケースの場合、枯れますので、ご注意ください。
おすすめのシンボルツリー【常緑中木】
ハイノキ
繊細な雰囲気のある常緑中木です。
春に香りの良い、白い小花を咲かせます。
美しい樹形と常緑樹のわりに繊細な葉が人気の秘訣です(常緑樹は肉厚でハードな印象の葉が多い)。涼しげな雰囲気を持っている樹です。半日陰に植樹します。長時間、陽に当たる場所ではすぐに落葉しますので、植える場所にご注意ください(特に、西日に弱いです)。
常緑樹ですが、繊細な樹のため、夏や冬など環境変化によって葉を落とすことがあります。
ハイノキの場合、その繊細さも樹の可憐な雰囲気と合って、魅力なのかと思います。
ハイノキの名前の由来ですが、『灰の木』からきています。これは染め物をする際、ハイノキから作った灰汁を媒染剤として使用し、染料を繊維に定着させていました。
日本では、近畿地方より西側、特に九州地方に多く自生してます。アジアやオーストラリアなど、海外でも自生してます。
そのため、植える際は、雑木の庭、シンプルモダン、和モダン、モダン寄りの洋風、など様々なシーンで植えることが可能です。
日照条件の問題をクリアできる場所でしたら、是非、入れてみてください。
なお、ハイノキは成長が遅いため、他の樹と比べて、価格は高いです。
ヒメタイサンボク リトルジェム
リゾートガーデンにオススメの常緑中木です。
ツヤツヤした大きな葉、春~秋にかけて咲く、香りの良い純白の花、葉の裏側が少しオレンジがかったカラフルな雰囲気…この一本を入れるだけで、その空間をトロピカルシーンに彩ることが可能です。
原種のタイサンボクは北アメリカ原産の非常に大きくなる樹です(日本では公園に植えられています)。
ヒメタイサンボクリトルジェムは、タイサンボクの矮性品種で、成長も緩やかなため、一般のご家庭にオススメの樹です。
植える際のオススメシーンは、リゾート、シンプルモダンです。
日向でも、半日陰でも植樹可能です。ヒメタイサンボク リトルジェムを植えることで、ご自宅に南国リゾートを演出してみてはいかがでしょうか。
フェイジョア
南国風のエキゾチックな花を咲かせる、フェイジョア。
トロピカルな雰囲気を持つフトモモ科の常緑中木です。
原産地はブラジル南部、西パラグアイ、ウルグアイ、北アルゼンチンなどです。その外周をうすピンクの花びらが付いていて、赤いブラシ部分(雄しべ)を目立たせています。花言葉は、「情熱に燃える心」。
この花を見れば、花言葉の雰囲気を感じて頂けると思います。
フェイジョアの実は、食べることができ、南国フルーツの様な味わいです(グアバの一種です)。品種によって、1本で実がなるものもありますが(ならない品種もある)、実を狙うなら、2本以上植えることをオススメします。
葉は丸くてかわいい雰囲気です。切り花にして、ご自宅のナチュラルインテリアに飾っても似合うと思います(実際、切り花として流通しています)。
植えるシーンとしては、リゾート、シンプルモダン、ナチュラルなどです。日当たりの良い所に植えることをオススメ致します。
成長過程で枝が暴れますので、スペースのある所に植え、また、剪定が必要です。
ブラシノキ
摩訶不思議な花を咲かせる樹、ブラシノキ。
ボトルを洗うブラシに似ていることから、英語ではボトルブラッシュツリー(bottle brush tree)とも言われます。
このブラシ部分ですが、どことなくセサミストリートのエルモに似てます。
花らしくない、変わった赤い花を咲かせる樹です。オーストラリア原産の植物です。関東以西の暖地でしたら、植樹可能です。
個性が強いため、好みは分かれるかと思いますが、リゾートガーデンのアクセントにオススメな常緑中木です。
日当たりの良い所に植えることをオススメ致します。
おすすめのシンボルツリー【落葉高木】
アオダモ
涼しげな印象と、すらっとした美しいシルエットを持つ落葉樹、アオダモ。
今、一番人気のシンボルツリーではないでしょうか。野球のバッドの木としても有名です。
日本原産の植物で、北海道から九州の山地に自生しています。アオダモの一番の魅力は、幹肌とシルエットでしょうか。
アオダモは成長と共に、上に葉を残し、下の枝はなくなってきます。その分、白みがかった斑点模様の綺麗な幹肌がより目立ってきて、「自然の造形美」を体現した樹形の美しさも際立ちます。
葉は、雑木の植物らしく、涼しげな印象を持っています。
秋には、紅葉を楽しむことが出来ます。葉の無い季節である冬には、その美しいシルエットを堪能して頂くことが可能です。一年を通じて、楽しむことができるシンボルツリー、そこがアオダモの人気の秘訣ではないでしょうか。
また、成長速度も比較的ゆっくりで、そこも人気の秘訣かと思われます。
しかし、成長に時間がかかる分、品薄になりやすいです。特に、樹形の綺麗な個体に関しては値段も高くなってしまいます。
雑木の庭はもちろん、和モダン、シンプルモダン、ナチュラル、そして、洋風と幅広いシーンでの使用が可能です。植える場所は、日向から、半日陰です。アオダモの花言葉は、「幸福な日々」「未来への憧れ」です。
偶然ですが、ご新築にも、リフォームにも、ガーデン・エクステリア全般に似合う言葉です。
アオハダ
ライトグリーンの葉を持つ、爽やかな樹、アオハダ。
雑木ならではの、涼しい雰囲気と、植えるだけで、周囲がワントーン明るくなることが人気の秘訣です。
どことなく高級感のある幹肌は、灰白色で、パッと見た外見は青くありません。
しかし、樹の皮をむくと、青い(緑色の)内皮が出てくるため、この名前がつきました。一枚一枚の葉も、やわらかく、見ていると優しい気持ちになれる印象です。
この葉は秋に黄色く紅葉し、それも綺麗で人気です。
そして、冬には、葉は無くなりますが、雑木特有の美しい樹形を楽しむことができます。
日向から半日陰で育てることが可能です。雄雌がある樹です。
雌株は、近くに雄株があれば、9月~11月ごろ、ソヨゴに似た赤い実を付けます。しかし、高さ3m程度では、成熟が足りず(2m程度で付ける個体もあるので、個体差が大きいです)、まだ、判別ができないので、また、雄株の有無もありますので、植えた後から、もし実が付いたらラッキー程度にお考えください。
自生地は北海道から九州の山地です。
植えるシーンとしては、雑木の庭、シンプルモダン、ナチュラル、和モダン、洋風と様々なシーンで使うことができます。シンボルとして、明るい雰囲気をお庭にいかがでしょうか。
ハウチワカエデ
カエデの中で最も大きい葉っぱと、野性味あふれる雰囲気が魅力の落葉高木です。
この葉っぱのサイズが空間に良いアクセントとなって、新緑、紅葉と、それぞれの季節ごとに空間に彩りを与えてくれます。自然樹形を愉しむ樹です。
形の綺麗な一本を入れるだけで、まるで野山をエクステリアに持ち込んできたかのような錯覚を覚えさせます。
名前の由来は、天狗の羽団扇からきています。よく名前が出てくる、コハウチワカエデとは別の植物です(コハウチワカエデは葉が小さく、落葉中木です)。
なお、カエデという言葉はカエルの手の形に似ていることが語源です。
カエデとモミジの違いは、葉の切り込みの深さです。
浅い種類をカエデと言います。ハウチワカエデは日照条件など、環境次第で色が変わる樹です。
そのため、明言は出来ないのですが、以前、植えた現場では緑から赤へのグラデーションになり、とても美しかったです。
日照条件ですが、半日陰がオススメです(但し、日照条件が良い方が紅葉は綺麗です)。
日向に植える場合は、水を頻繁にあげることが必要になります。また、西日には弱いので、ご注意ください。
デザインイメージとしては、和モダン、シンプルモダン、ナチュラル、雑木の庭、といったシーンで使用することができます。少し違う雰囲気の植木を探しているお客様は、是非、見てみてください。
イロハモミジ
紅葉の代名詞とも言える、日本で最もスタンダードなモミジです。
日本に暮らしていれば、見たことがない人はいないのではないでしょうか。
東北以南の低山や谷、川沿いに自生してます。平安時代、貴族たちは紅葉狩りに行き、儚さと美しさを兼ね備えたモミジを愛で、和歌を詠みました。
しかし、庶民が紅葉狩りを行うようになったのは、江戸時代中期と言われています。この頃、町人文化が栄え、庶民が紅葉を見ながら、宴会を行うようになりました。
現代でも、同じようなスタイルで、皆さま、ご家族・ご友人と紅葉狩りを楽しまれていると思います。そんな古くから、日本のライフスタイルと共にあった樹です。
紅葉の時期の美しさもさることながら、新緑の時期の緑陰も綺麗です。
植えるシーンは和モダン、シンプルモダン、ナチュラル、雑木の庭です。半日陰に植えることをオススメします(但し、紅葉が綺麗になるのは日向)。西日に弱いです。
強い日差しにさらされ、乾燥が進むと、葉がチリチリになります。
元々、川沿いや谷に生えている樹のため、水が好きな樹です。水やりの際、葉にもホースで水をかけてあげることをオススメします。特に、日向に植えた場合は、水やりをきちんと行ってください。
少し育てるのは難しいですが、そのオンリーワンな雰囲気をご家庭のシンボルとするのは魅力ではないでしょうか。なお、似た種類にヤマモミジ(主に日本海側)、オオモミジ(イロハモミジより葉が大きい、葉の縁の細かいギザギザが、イロハモミジより軽い)があります。
ヒメシャラ
独特の赤っぽく美しい幹肌を持った樹です。
黄緑色の小さく品のある葉と、初夏に咲く清楚な白い花が魅力です。
秋には紅葉し、冬には樹形の美しさを堪能できる、一年を通して楽しめます。成長は緩やかです。
樹形はスラっと上に向けて伸びる傾向があるため、横に広がりにくいです。そのため、狭いところの植栽にも向きます(とはいえ、高木ですので、ある程度の広さは必要です)。
ヒメシャラの名前の由来ですが、シャラの木(ナツツバキ)から来ています。ナツツバキより、葉も花も小さいため、ヒメシャラと付きました。ヒメシャラの花言葉は「愛らしさ」「謙虚」です。
ヒメシャラはツバキ科の植物であるため、シーズンになると、害のある毛虫で有名な、チャドクガが発生するケースもあります。
シンボルツリーとして、ヒメシャラをお選びになる場合、こちらもご注意ください。
ただし、その幹肌の美しさは「日本三大美幹木」に選ばれるほどです。
野山を歩いている際も、自然に生えているヒメシャラに出会うと、その美しい幹肌に圧倒されます。植えるシーンとしては、和風、雑木の庭、シンプルモダンです。日向から半日陰に植えることができます。西日には弱いので、ご注意ください。
エゴノキ
初夏に白いベル型(釣鐘型)の小花をいっぱいに咲かせるシンボルツリーです。ここから、「森のシャンデリア」とも呼ばれます。
たくさん咲いた小花を見ていると、エゴノキの花言葉が「壮大」というのも、うなずけます。元来、雑木林に生えている樹ですが、そのスラっとした美しい樹形から、様々なシーンで使われてきました。
名前の由来は、エゴノキの実の味がエグいことからきています(エグい味は、アク抜きに失敗したタケノコを浮かべて下さい)。
このエグい味ですが、サボニンという有毒物質が原因です。毒ですので、ペットや小さいお子様のいらっしゃる方は、植える際、ご注意ください。
実に毒は持っていますが、その涼し気な雰囲気、初夏に楽しめる小花など、魅力もたくさんある高木です。
最近は園芸品種として、ピンク色の小花を楽しめる、ピンクチャイムという品種も出ています。日向から半日陰で育てることができます。
植えるシーンとしては、シンプルモダン、和風、洋風、雑木の庭などです。
おすすめのシンボルツリー【落葉中木】
ジューンベリー
近年、シンボルツリーとして人気の木です。
その理由は、花、実、紅葉を楽しむことができるからです。
葉が出てくる前、4月頃、可憐で清楚な雰囲気の白い小花を付けます。ジューンベリーの花はどこか桜の様な雰囲気を感じさせます。実際に、ジューンベリーは桜と同じバラ科の植物です。
6月頃、赤紫色の実を付けます。この実が、名称のジューンベリー(june berry 6月の果実)の由来です。最初は赤い実ですが、熟すと紫がかった色になります。生食もジャムにもできます。結構、美味しいです。
自家結実性ですので、一本でも実を付けることができます。ジューンベリーの花言葉は「穏やかな笑顔」「穏やかな表情」です。
ジューンベリーの実を食べた時に見せる、あの表情からきたのかなと思います。紅葉はオレンジ~赤色になり、とても綺麗です。
ジューンベリーの一番の魅力を考えると、非常に悩みます。樹の持つナチュラルな雰囲気も 素敵ですし、可憐な花にも心を鷲掴みにされます。
また、実も美味しいですし、 紅葉も綺麗です。こういった色んな魅力があることがシンボルツリーとしての人気の証なのかもしれません。
一番の魅力を書くことは難しいですが、オススメの樹であることには変わりません。
植えるシーンですが、ナチュラル、シンプルモダン、洋風にオススメします。樹の雰囲気・葉の雰囲気が少し可愛いので、ナチュラルインテリアがお好みの方に特にオススメしたい落葉中木です。日向から半日陰で育てることが可能です。
マルバノキ
丸くて、ハート形の可愛い葉が魅力のマルバノキ。
近年、人気が出てきた植物です。丸い葉は名前の由来でもあります。元々、日本(中部~近畿~中国地方)に自生していた植物です。
近年は自生種はほとんど見られなくなってしまいましたが、日本原産のため、環境への適応が良く、植物を育てる自信の無い方にもオススメです。日向から半日陰で育てることができます。西日に弱いです。
また、夏の水切れにご注意ください。マルバノキは植えている環境によって、紅葉の色が変わります。日向に植えていると赤色に、半日陰の場合、カラフルになります。どちらの紅葉も美しいため、紅葉を楽しみたい方に是非、チャレンジして頂きたい樹です。
マルバノキの花言葉は「早熟」です。
11月~12月頃、マンサクの花に似た、紅色の花をつけます。他の植物と比較すると、花としては地味ですが、安土桃山時代の有名な茶人、千利休に好まれ、茶室に飾る茶花として、利休七選花に選ばれています。茶花と聞くと和の雰囲気になりますが、丸い葉っぱのかわいい印象のおかげで、植えるシーンとしては様々なデザインに対応します。
ナチュラルにも、シンプルモダンにも、洋風にも、そして、もちろん和モダンにも、幅広いデザインに使えるカワイイ樹です。
コハウチワカエデ
紅葉の美しいモミジの一種、コハウチワカエデ。
赤ちゃんの手のひらの様な、かわいい印象の葉をつけます。
この樹を初めて見た時、あまりにカワイイ印象に感動した記憶がございます。もちろん、モミジ・カエデは品種ごとに素晴らしい点は異なると思うのですが(例、イロハモミジは凛とした上品な印象、ハウチワカエデは野性味が味など)、ハウチワカエデはカワイイ雰囲気が一番の魅力だと思います。
紅葉も美しく、樹形も綺麗でオススメなのですが、一点、植え付ける場所にご注意ください。
西日に弱いです。できれば、半日陰がオススメです。日向でもいけますが、強い日差しに弱いので、日向に植える場合は特に水やりに気を付けてください。
水は根元に上げるほか、葉っぱにもかけてあげてください。乾燥が進むと、葉がチリチリになってしまいますので。
植えるシーンとしては、和モダン、シンプルモダン、ナチュラル、雑木の庭です。
ナツハゼ
和製ブルーベリーの樹、ナツハゼ。
北海道から九州まで、林の傾斜地に自生しています。
ナツハゼの綺麗な樹形を見ていると、雑木林をハイキングしている時のワンシーンを思い出します。綺麗な樹形にとどまらず、春の赤い新芽、釣鐘状の小花、綺麗な紅葉、風情溢れる黒い実と、一年中楽しませてくれる落葉中木です。
ナツハゼの紅葉ですが、夏の終わりごろからハゼの木の様な紅葉をします(紅葉は日照条件も必要になります)。これがナツハゼの名前の由来です。
ナツハゼの実は食べることができますが、ブルーベリーと比較して酸味が強いため、ジャムやナツハゼ酒など、加工されることをオススメします。
植えるシーンとしては、日向から半日陰です。林の中をイメージしてください。日向の方が紅葉が綺麗になりますが、西日には弱いです。ツツジ科ですので、酸性土壌を好みます。
シンプルモダン、和モダン、雑木の庭、洋風、この樹は様々なデザインに合わせることが可能な雰囲気溢れる万能選手です。ナツハゼの花言葉は「飾らぬ美」です。
ツリバナ
初めて見た時、言葉にならない感動を覚えた樹、ツリバナ。
一番の魅力は夏の終わりから秋口にかけてのぶら下がった赤い実ではないでしょうか。個性的、且つ、カワイイ、独特な雰囲気は他の植物には無いオリジナルな魅力を醸し出します。
また、雑木独特の風情ある樹形も空間を綺麗に演出させることができます。派手さはありませんが、ぶら下がって咲く、趣のある花が名前の由来です。
ひっそり咲く花を見ていると、花言葉が「片想い」というのもうなずけます。
北海道から九州に自生しています。谷川沿いに生えていることが多く、水を欲しがります。
そのため、半日陰に植えることをオススメします。西日には弱いので、ご注意ください。
和モダン、雑木の庭、ナチュラル、シンプルモダンなど、様々なデザインに映えます。
クロモジ
和菓子で用いられる、高級爪楊枝の材料として有名な樹、クロモジ。
本州から九州の山地に自生している、樹形の綺麗な樹です。
枝を折ると、爽やかで品のある香りがすることから、茶道や和菓子の爪楊枝など、日常に溶け込んでいる樹です。鮮やかな新緑や黄色い紅葉がとても美しいことから、最近は、ガーデンでも使われるようになってきました。
植えるシーンとしては、ナチュラル、雑木の庭、和モダン、シンプルモダンなどでしょうか。ナチュラルな印象を強めたいとき、使うと良いと思います。大きい樹の下に生えるため、半日陰に植えることをオススメします。
シンボルツリー特性比較
植栽別年間カレンダー
- 樹の個体差・植えている環境・地域によって変わりますので、目安程度にお考え下さい。
- 赤く紅葉する樹、黄色く紅葉する樹など、表で塗り分けてみました。
シンボルツリーを植えて空間をお洒落に演出するコツ
同じシンボルツリーでも、植え方、樹の選び方次第で、空間をお洒落に演出することも、ちぐはぐになってしまうこともあります。お洒落に演出する上で大切なことをまとめてみました。
シンボルツリーの雰囲気とデザインの雰囲気を合わせること
シンボルツリーを選ぶ上で、憧れの植木を第一候補に考えてしまうこともあるかと思います。
ここはグッとこらえてください。
エクステリア・ガーデンのデザインに似合う、同じ様な雰囲気を醸し出したシンボルツリーを入れることで、空間に統一感が出ます。
例えば、和モダンを演出している空間に対して、地中海由来のオリーブを植えたら、どうでしょうか。
違和感の演出となってしまい、和モダンの空間も、シンボルツリーのオリーブも両方台無しにしてしまいます。和モダンのケースでしたら、例えば、イロハモミジをシンボルツリーとして選ぶだけで、空間の美しさは格段に上がります。
極力大きい樹を選ぶ
シンボルツリーを選ぶ際、その空間を象徴する様な、極力大きい植木を選んでください。
エクステリア・ガーデンを演出する上で、常に建物とのバランスが大事になってきます。
大きい建物に対して、小さいシンボルツリーでは迫力負けしてしまい、違和感ある空間になってしまいます。極力大きいシンボルツリーを植えることで、建物とエクステリア・ガーデンとのハーモニーを演出することが可能になります。
また、大きい樹の場合、ある程度、樹形が出来ているため、それ自体が芸術作品のような風格を醸し出しています。そんなモニュメントとなるシンボルツリーを空間に入れることで、見る人の視線を惹きつけるアイストップとしての役割を果たします。
人工的に造られたハードな空間と、自然がもたらしたソフトなモニュメントと、大きい植木をシンボルツリーにするだけで、人工と自然のコラボレーションによる、メリハリ溢れる空間演出が可能です。
樹形の綺麗な樹を選ぶ
シンボルツリーを選ぶ際、演出しているデザインに合った、樹形の綺麗な樹を選ぶと良いです。
どんなにカッコイイ空間を造っても、シンボルツリーの樹形が微妙では、全てを台無しにしてしまいます。
植木は一点もの、同じ形の樹に出会うことは二度と無いです。
だからこそ、樹形は樹の個性と考え、その空間デザインに似合う、綺麗な形のシンボルツリーを選んでください。
シンボルツリーを植えるメリット・デメリット
大きくて、樹形の綺麗なシンボルツリー、一本入れるだけで、空間の付加価値が上がるため、絶対にオススメです。
そんなシンボルツリーのオススメの植え方ですが、メリット・デメリットがあります。
シンボルツリーを植えるデメリット
価格が高い
小さいシンボルツリーに比べて、大きいシンボルツリーは高価です。
まず、成長するまでに日数がかかること。また、運搬や施工に労力がかかるため、必然的に価格は高くなります。とりわけ、樹形の綺麗なシンボルツリーは高い単価で取引されます。
管理が必要
シンボルツリーは植え付け後、特に根付くまでは注意して、観察・水やりなどの最低限の管理をして頂くことが必要です。
大きいサイズのシンボルツリーの場合、水もその分多く必要になります。
また、万が一ですが、枯れた際、同じ個性を持った樹は二度と出会えません。樹形の綺麗なシンボルツリーを植えている場合には、特にショックを受けられるかと思います。そのためにも、初めから枯らさない様な管理をしていただくことが必要です。
シンボルツリーを植えるメリット
空間を広く見せる効果
シンボルツリーを見る人の視線を高い所まで引き伸ばすことができる。
それにより、視覚のトリックが効き、実際よりも空間が広く見える。
付加価値のUP
建物の迫力に負けない空間造りができる。
それにより、付加価値が付き、建物の価格帯も実際より高く見せることができる。大きくて、樹形の綺麗なシンボルツリーを入れるだけで、ワンランク上の空間演出が可能になる。
空間との馴染みが良くなる
敷地空間は古くからそこにあって、それに対して、新しくエクステリア・ガーデンを造ります。
大きい樹を入れることで、樹の持っている時間軸が、新しい空間と以前からある空間の調和を図ります。
唯一無二の存在感
樹は自然の物ですので、一点一点形が異なります。
特に大きい樹になると、成長の過程であったストーリーが樹に刻まれていて、それが唯一無二の存在感となります。例えば、日照条件によって、曲がり方が変わっていたり等、成長過程での樹一本一本の個性が出てきますので、大きい樹を入れることで、その個性・存在感も一点物として、楽しむことが可能です。
最後にお伝えしたいこと
お施主様より、「シンボルツリーってこんなに高いの?」という言葉を頂くことがあります。
単純に、価格だけで見るのであれば、安い樹を探すことも確かにできます。
しかし、価格だけで選んだ樹は、果たして、シンボルツリーとして妥当でしょうか。
- A:安い
-
樹形はカッコ良くない、空間に対して、サイズも小さい
- B:高い
-
カッコイイ樹形、オリジナリティ溢れる空間美の演出、空間に見合ったサイズ
AとBでは、シンボルツリーとして使用する上では、例え、高かったとしても、Bをオススメします。
どんなに空間デザインをカッコ良く造ったとしても、シンボルツリーが微妙だったら、空間全体がダサくなります。
そうすると、せっかくご予算をかけてカッコイイ空間を造ろうとした全てが水の泡になってしまいます。
こう力説してしまうぐらい、植木のパワーは重大です。
弊社は、シンボルツリーは空間に対するデザインマテリアルとして考えています。
そのため、その空間ごとに見合った樹形の樹を、担当者が畑まで探しに行っています。
たくさんある植木の中から、お客様だけの一本を探して…。そこで見つける樹は、年数を経て、唯一無二の存在感を放つ樹。結局、シンボルツリー選びの基準というのは価格だけでは無く、存在感を基準に探すことが大事かと思います。その上で、お客様ごと、空間ごとに見合った品種を選びます。
デザインを印象付ける最後のマストアイテム、シンボルツリー。
シンボルツリーはエクステリア・ガーデンの最も大切なマテリアルです。是非、できるだけ大きく、迫力のある樹を入れさせて頂き、最後の仕上げをさせて頂ければ幸いです。